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2022増田優子作品集

妙義山麓美術館


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2022増田優子作品集

 

突然の別れ

 

家族を代表して   紀之定 貴子(長女)


人の命とは、わからないものです。
「また明日ね、会えるのを楽しみにしている
わね」と、電話を切ったのが最期でした。

私達をおいて、天(そら)に、旅立ってしまいました。
自分のことより、周囲の人の幸せを心から
願う人でした。
常に進歩を求め、前進する人でした。
言葉で表現するのが下手で、あふれる程ある
「ありがとう」や、うれしい気持ちを伝えき
れない。そんな自分を反省しつつ、たくさん
の方に感謝していました。
人とは、和顔愛語で接し、絵とは、常に真摯
に向き合う。色を大事にし、線を大切にした。
そんな増田(ますだ)優子(ゆたこ)と言う人が
いたことを、ここに残したいと思います。
母が生前、ご縁を賜りました、すべての方に
感謝し、心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。

増田優子遺作展(会場写真)

増田優子遺作展(会場写真1)

増田優子遺作展(会場写真2)

増田優子遺作展(会場写真1)

増田優子遺作展(記念写真1)

増田優子遺作展(記念写真2)

増田優子遺作展(記念写真3)

 

家族が叶えた作品集

妙義山麓美術館
館長 稲川庫太郎


  人生には衝撃の余り、心に焼きつき、一生忘れられないことがあります。北原白秋門下の三羽烏と言われた安中出身の詩人・大手拓次の詩に「もう、何もかも、夢のように消えてゆく。残るのは涙ばかり、涙ばかりが残っている」という悲しい一節がありますが、増田優子さんの突然の悲報には天の無常を感じます。増田さんとは深谷徹先生門下(日展評議員・創元会常任理事)にて四十数年の交流があり、その温厚な人柄は多くの方々に慕われておりました。

  当妙義山麓美術館にて開催いたしました個展、女流画家と女流書家の「80代・絵&書のコラボ展」にて、増田作品が新聞に紹介された折の笑顔や、更に私が描いた「増田さんの肖像画」を見て喜んでいたことを走馬灯のように想い出します。余りにも早い別れに惜別の言葉もありません。

  この度、ご家族が増田さんの遺志を尊重して画集を刊行された事は大変有意義なことです。記憶は月日と共に忘却の彼方へ消えてゆきますが、増田芸術の足跡を後世に継承する手段としても大切です。この作品集を通して増田芸術の魂が、大勢の方々の心を永遠に照らし続けることを念じております。

 
 

 

バンベルク

増田優子作品集によせて
評論家 稲輪源太


 創元会の網領に「誠実、情熱、知性の三つによって中庸に立脚し、新しき絵画を創造せんとす」の一文がある。

 増田さんは京都市美大(現・京都芸大)卒業時の卒業制作展覧会で受賞。若い頃から人物、静物、風景等の幅広い分野を知的な具象表現で描いていた。

 その作品と人柄に着目した深谷徹氏(後の日展評議員、創元会常任委員)の勧めで創元展に出品。2年連続入賞後も受賞を重ね、電撃的な速さで会員に推挙され、中央画壇にデビューした。

 誠実で温厚な人柄をもって創元会大阪支部長や創元会監事の要職を歴任し、田中繁吉賞も受賞されるなど、まさに誠実、情熱、知性を兼ね備えた会の中心的存在だった。

 淡彩で裸婦、民族衣装の女、着物姿の女などをモチーフに描き、重厚な線と軽快でリズミカルな曲線を見事に調和させ、内面的美意識や情念がどの作品からも表出している。

 スペインなどの外国風景作品は油彩画と表現は異なるが、躍動的な筆さばきを駆使して、空虚な建築空間だけを描き、人の姿を描かずして人間の存在と気配を感じさせる世界を見事に生み出している。

 思えば、増田さんは自身の考え方や価値観を他人に一切強要しなかった。人間関係においては来るものを拒まず、去る者を追わず。寛容な精神で人々を受け入れた。

 この度、ご家族が故人の希望を叶え、スケッチやクロッキーを中心とした遺作集を刊行された。そのページを開くたび、新たなる造形表現を目指した増田さんの思いが詩的絵画の世界へといざなっているように感じるのは、私だけでしょうか。

 流れ行く悠久の時の中、人に与えられた「時」は有限である。「時のゆらぎの中」で増田さんは残念ながら他界されましたが、我々の心の中で、増田さんの温かな魂は永遠に生き続けると信じております。

 
 

 

シャルトル ウール川のほとり


 
 

 
 
 

ニュールンブルクの街かど

VITTO RIOSA

 

コーク

 

リューネブルク

 

 

小ベニス

 

 

 
 

雑賀崎

 

有馬中の坊

 

 
 
 
 

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